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週刊社長猪股護

不況に勝つのは企画力

サブプライムローン問題から端を発したこの大不況の影響で、消費者の財布の紐は固い。ポパルの主要クライアントである百貨店でも商品がなかなか売れず、何とか売上げをつくろうと躍起になっている。
しかし、利益を上げている企業があるのも事実だ。例えばユニクロで知られるファーストリテーリングは機能性肌着など次々とヒット商品を飛ばしているし、日本マクドナルドは大型バーガーや期間限定販売に加え、無料コーヒー企画で従来利用が無かったサラリーマン層を呼び込み売上げを伸ばしている。

一方でポパルが属する広告業は、2000年以降最大規模の倒産件数を記録しようとしている。
帝国データバンクの調査によると、昨年度206件だった広告業の倒産件数が今年は9月時点で201件。このペースで行くと、年末には昨年度の数値を超えかねない。
さらに業界を広告代理業・広告制作業・ディスプレイ業に区分すると、特に広告代理業の倒産が91件と目立つ。したがって広告代理業から仕事を請け負う広告制作業やディスプレイ業も、相当厳しい経営であることは間違いない。

この違いは何だろうか。
それは、企画力の有無ではないか。

新しい企画を打ち出す企業が利益を上げているが、広告業はクライアントからの依頼が無ければ成り立たない。そして不景気で一番に削られるのが広告費だ。頼まれた仕事だけをこなしているだけでは、クライアントの状況次第で仕事を失ってしまう。
百貨店のPOP制作を本業として起業した私は、初めからそのことを念頭に置いて経営戦略を練った。そして行き着いた結論は、クライアントの本業を伸ばす「企画」を積極的に行なうことだ。

だが同業者にこの話をすると、皆一様に首を横に振る。感性に富んだ広告人こそ、企画は得意分野のはずなのに…「企画は金にならない」と言うのだ。
確かに企画は金にならない。時間を掛けて企画書を作ってプレゼンをしても、クライアントに採用されなければ利益はゼロだ。
「確実に金を取れる訳ではない企画書やプレゼンに、時間を割くのはもったいない」との言葉を何度も耳にしてきた。

それでも敢えて企画を出し続けるのには理由がある。
まずは仕事創りのセンスを磨く為だ。クライアントの要望以上の成果を上げる、今あるものを組み合わせてより多くの利益を上げる方法は無いか…常に仕事に対するアンテナを張り巡らせることでプラスアルファの仕事、もしくはまったく新しい仕事をつかむ可能性も広がってくる。
また企画提案を繰り返すことで、クライアントの中に「頼んだ以上の仕事をしてくれる会社」「もっと良い提案をしてくれる会社」というイメージが生まれる。受身でしか仕事を得られない御用聞きではなく、真に必要とされる企業になる。
さらに企画が成功しクライアントに利益が出れば、その仕事を創った我々も利益と信頼を得られるのだ。

最初は失敗も多いかもしれない。しかしやらなければゼロだ。いや、時の流れとともに仕事創りのセンスが錆びる分マイナスになってしまう。
だから私は、社員たちに「多少時間が掛かっても、利益が出なくても構わないから、企画を出してプレゼンテーション能力を磨け」と折りに触れて言っている。

実際、広告人から「金にならない」と敬遠される企画を出し続けた結果は明らかだ。
起業から37年経つ現在まで、ポパルは広告制作・ディスプレイ業だけではない「企画もできる会社」として不況でも赤字を出さない経営を続けている。

(2009年11月27日)

社長室から

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